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今年の暮れも押し迫ってきました。このまま健康に過ごし、ゆっくりとした正月を迎えたいものですが、近頃メディアをにぎわせているのがノロウイルスのよる食中毒・胃腸炎です。今年は驚くほど食中毒の集団感染のニュースを耳にします。
ノロウイルスがどんなものか、どうやったら予防できるのかなど調べてみましたので、ぜひご熟読ください。

【ノロウィルスとは?】
ウイルスの中でも小さく、電子顕微鏡でなければ観察できないほど小さなウイルスです。ウイルス粒子だけでは増える事が出来ないため、人間に感染し、その細胞の中で数を増やします。
ところでこの「ノロウイルス」という名前。最近よく耳にするようになりましたが、これまでは発見された土地から「ノーウォークウイルス」、「ノーウォーク様ウイルス」、「小型球形ウイルス」などと呼ばれていたようです。
遺伝子の解明が進み、2002年の国際ウィルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名されたので、あまり聞いた事がなかったんですね。

【感染経路は?】
 ほとんどが経口感染だそうです。その中でも多いのがカキを含む二枚貝(シジミ、ハマ グリなど)による食中毒が多く報告されています。このほかには、「食品取扱者が感染しており、そのものを介して汚染された食品を食べた場合」や、「ノロウ イルスが大量に含まれる”ふん便・吐ぶつ”から人の手を介して二次感染した場合」、「家庭や共同生活施設などで飛沫感染する場合」、「ノロウイルスに汚染 された井戸水や簡易水道を消毒不十分に摂取した場合」などがあります。また、少量(数個から100個程度)でも感染するので、感染のリスクは高いと言えま す。
このようにノロウイルスの感染経路は、食品などからのウイルス性食中毒の他に、飛沫感染などによるウイルス性胃腸炎(感染症)など多様です。このウイルス感染経路の多様さが、ノロウイルスを流行させる原因となっています。

【感染すると・・・?】
感染してから症状が出るまでに24~48時間かかります。主症状は、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛であり、発熱は軽度(38度以下)です。一般的には比較的 症状は1から2日で治まり、後遺症などもありませんが、抵抗力の弱いお年寄りや子供の場合は症状が重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡する こともあるので、注意が必要です。
また、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあるので、自分がウイルスを運んでいるかもしれないといった意識を持つ事が重要です。

【治療法は?】
現在、ノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、対症療法が基本となります。下痢や嘔吐などによる脱水症状に注意して、水分と栄養 の補給を心がけましょう。脱水症状がひどければ輸液などの治療が必要になります。
このとき、下痢止め薬などを飲んでしまうと、体内にウイルスが留まる原因となり得ますので、使用しないことが望ましいそうです。

【予防法は?】
主に以下のものが推奨されます。
1.食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗う。
2.下痢や嘔吐などの症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしないようにする。
3.胃腸炎患者に接する方は、患者の糞便や吐物を適切に処理し、感染を広げないようにする。

さらに、カキなどの二枚貝は内臓にウイルスが存在しているため、表面を洗うだけでは除去しきれません。しっかりと中心まで火を通してから食べるようにし ましょう。その際の調理器具(まな板、包丁など)も汚染されやすいため、専用のものを使ったり、熱湯消毒して二次感染を防止しましょう。
また、連日の報道でみなさんご存知かもしれませんがエタノールや逆性石鹸はあまり効果がありません。ノロウイルスを抑えるためには次亜塩素酸ナトリウ ム、加熱があります。調理器具・タオルなどは洗剤で洗った後に次亜塩素酸ナトリウムで拭いたり、加熱(85度以上1分間)するのが有効です。次亜塩素酸ナ トリウムは消毒用の薬物です。取り扱いには十分注意しましょう。

【おわりに】
このようにノロウイルスの感染力は相当強いものだとわかりました。先述したように1人1人が感染源となり得る事を自覚し、感染予防することが、あなたに とって大切な人たちを守る事につながります。みなさんが良い新年を迎えられますよう心より願っております。

さて、2006年の「Reha-Net 健康コラム」も今回の発行が最後となりました。これまでご愛読してくださった方々に深く感謝致します。誠にあり がとうございました。来年も皆様の健康のために「Reha-Net 健康コラム」が一役買うことができればと思っておりますので、今後とも何卒宜しくお願 い申し上げます。

2006.12.22

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